連休明け、乱れた生活リズムを整えるには?
ゴールデンウィークも終わり、少しずつ日常が戻ってきたこの時期。楽しい連休の反面、生活リズムが乱れてしまったという方も多いのではないでしょうか?
今回は、睡眠の専門家・矢野 達人さんをお迎えし、「連休明けの睡眠の整え方」について語っていただきました。
夜更かしの習慣、だるさや眠気が抜けない朝、集中力の低下——。こうした不調の背景には、実は“睡眠の乱れ”が関係しているかもしれません。
大型連休と生活リズムの乱れ


では矢野さん、今回もよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

だいぶ5月になってから、生活自体は落ち着いていますか?

そうですね。サービス業なので、土日祝が書き入れ時というか、仕事はあるんです。
なので、どちらかというと平日にゆっくりするタイプで、皆さんとはもしかしたら逆かもしれないですね。

なるほど、なるほど。
忙しくなると体調や生活のリズムが崩れてしまいますし、それに対するリカバリーも結構大事だと思うんです。連休が続くと、生活リズムが崩れてしまう方も多いと聞きます。
以前もちょっとお話ししたかもしれませんが、うちの叔父なんかは、夜にYouTubeを見続けてしまって「明日も休みだし」と思ってしまうみたいなんです。
本人も「良くない」とわかってはいるんですけど、なかなかやめられないようで。それでずっとリズムを崩しちゃっているという方も、実際にいらっしゃるようです。やっぱり、それは良くないですよね?

そういう方、本当に今多いと思います。
「布団=スマホを見て、限界まで見て寝る」というのが、もう習慣になってしまっている。そういう人たちがやっぱり多いので、そこをいかに切り離すかというところが、ポイントになってきますね。
寝不足が続くと起こるリスク


身体に健康上の支障がなければ、そのまま過ごしてしまう方も多いと思うんですが、
専門家の立場から見て「それは良くない」というような、睡眠不足によって起こる悪影響ってどんなものがありますか?

たとえばお仕事をされている方で、ちょっと思い返してみてほしいんですが、「この時間であれができるな」「ここでちょっとパソコン作業をしようかな」とか、アポイントの合間に時間の使い方をある程度計画されていると思うんですよね。
生産できる時間を無駄にする

でも、いざその時間になると「眠たい」「腰が痛い」「肩がだるい」みたいなことが起きたりする。それで「ちょっと横になりたいな」「近くにマッサージ行けるところないかな」とか。
そうやって本来生産できた時間が、思ったように使えなかったという経験、年間で見たら結構あると思うんですよ。
これを「プレゼンティズム」と言います。
出勤はしているけれど、眠気ややる気の低下で生産性が落ちる状態のことですね。
この状態が続くと、業績も下がるし、得たい成果も得られない。
つまり悪循環に陥るわけです。
ただ、誰も「肩こりたくて肩をこっている」わけじゃないし、「眠くなりたくて眠くなっている」わけでもないと思うんです。原因を逆算して突き止めて、少しずつ改善していく。そうすると、そういう状態に陥る頻度が減っていくんです。
たとえば「こういう行動をすると、こういうパフォーマンスにつながるんだ」と体感することで、ひとつずつできることから変えていける。
気がつけば「1日中集中力が続く」とか、「集中が切れてきたらこれを挟めば持ち直せる」とか。そうやって、自分の思い通りの1日が過ごせるようになっていきます。
この1日の主観的な満足度って、人生全体の満足度や成果にも直結すると思うんです。
だから、睡眠不良がもたらす影響というのは、人生の質を下げる要因になり得る。言葉ではわかっている方も、「ああ、確かにそういう時間あったな」と思い返してもらえたら、当てはまる人は結構いるんじゃないかなと思います。
そういう時間を一度、振り返ってみるだけでも大きな気づきになると思いますね。
事故や病気に繋がる

やはりわかりやすいのは、パフォーマンスの低下やミス、集中力が続かないといった点ですよね。

一番大きなところで言えば、事故を起こしてしまったり、病気になってしまったりということですね。やっぱり、そうなってからでは遅いんです。

取り返しのつかない問題を引き起こす可能性は、大いにありますね。

睡眠不足は、まさにそのリスクが大きいと思います。
その倦怠感、睡眠不足が原因かも


これはもう、主婦の方にも当てはまる話かなと思うんですよね。
むしろお子さんがいらっしゃる場合は、平日の朝は決まった時間に起きなければいけないし、家事もあるし、送り出す時間も決まっている。
その後にお仕事に行くとなれば、もしパフォーマンスが落ちていたら、全部こなすのはかなり難しいですよね。

そうですね。
「主婦はダラダラしてるんじゃないか」「暇なんじゃないか」と思っている方もいるかもしれませんが、皆さん、本当にめちゃくちゃ忙しいと思います。

まさに“刻む”ような生活をされている感じですよね。

はい。やっぱり「休憩くらいさせてよ」という気持ちもあるでしょうし、実際に休憩の時間を取っている方もいらっしゃると思います。
それはもちろん良いことなんですが、その休憩が止まらなくなって、ダラダラと何時間も過ごしてしまうようになると、主婦業そのものにも支障が出てきてしまいますよね。

これは、世の中の旦那さんたちにも気づいていただきたいポイントかもしれませんね。「ズボラな主婦だな」と思っていたとしても、実は睡眠の習慣があまり良くないのかもしれないと。

その習慣の原因は何なのか、というところですよね。
家族の協力が得られない中で、仕方なくそういう状態に陥ってしまっているのかもしれないし、あるいはご本人の生活リズムや感覚から来ているのかもしれない。
いずれにしても、それをちゃんと理解しておく必要はありますよね。

睡眠の状態が良くないことで、その人のパフォーマンスも下がってしまう。
そうなると、今一緒に暮らしている家族が「この人ってこういう性格なんだな」と思っていた部分が、実は性格ではなく、睡眠の問題によって引き起こされている可能性もありそうですよね。

それは大いにあると思います。
女性特有の睡眠の悩み


今の時代、性別の壁を越えてお互いを理解し合って、協力し合える社会が求められていると思います。とはいえ、やはり身体的な特徴というものがありますよね。
たとえば女性の場合、生理があることで、その前の時期になると体温が下がりにくくなるんです。人間は体温が下がると眠たくなるという性質を持っているので、体温が下がらないというのはつまり眠りにくいということにつながります。
こうした変化は、女性がもともと持っているものであって、睡眠リズムが崩れやすい理由のひとつなんです。
でも、男性陣がそのことを知らなかったり、気づいていなかったり、意識していなかったりすることって、まだまだ多いと思います。

更年期の方も、まさにそういう悩みをおっしゃいますよね。
身体的な理由(生理)で睡眠は崩れる

そうですね。
気分が落ち込みやすくなってしまって、それを持ち上げるためにお薬を処方されている方もいらっしゃいます。
でも、そのお薬によって眠れなくなるということもあるんです。とはいえ、薬を飲まないと今度は気分が沈み込んでしまって、つらくて耐えられない。
そうやって、どうしても睡眠が不安定になってしまうこともあります。
協力や知識を知っておくことが大事

このように、さまざまな身体的な理由で睡眠が崩れることは実際にあるので、周囲が理解すること、そしてお互いに協力し合うことがとても大切です。
加えて、そういった知識を誰もがきちんと知っておくことも、重要だと思います。

正しく理解していくことが大事かもしれませんね。

本当に、めちゃくちゃ大事なことだと思います。
5月の睡眠について


特にこの春は、ちょうど日照時間が増えてきて、日の出の時間も変わってきますよね。
リズムが変わりやすくなるので、ちょっと眠くなりやすい方が多いとか、「春眠」なんて言葉もありますし。
あとゴールデンウィークという連休の時期もあって、リズムが崩れやすいタイミングかもしれませんが、特に「5月病」と言われるような心や体の不調に関しても、実は睡眠が大きく関係しているんじゃないかと思うんですが。

そうですね。
季節の変動の影響もありますし、長期連休による生活の乱れも大きな要因です。お父さん世代の方々は、長距離運転をする機会も増えるでしょうし、わかりますよね?

はい、わかります。

運転する立場として、「あれもしんどいんやで」って、ありますよね。そのあたりの気持ちのすれ違いも、お互いに理解し合わないと。

「なるべく休憩せずに行こう」っていう気持ちにもなりがちですよね。

そうなんです。
本当はサービスエリアに寄りたいけど、「休ませてほしい」とは言いにくい。でも、運転が危なっかしくなったら「あなた危ない!」って言われる。
そんなジレンマというか、お互いにいろんな葛藤があると思うんですけど。ここはもう、平和にいきましょうって話です。

立て直しましょうっていう。

つまりは、世界平和。

ちょっとオーバーですけど。

テーマ違いましたね。

ただ、やっぱり「睡眠の習慣」がすごく大事だという話ですよね。

本当に大事です。

ありがとうございます。
休日の睡眠の整え方


では、どういうふうに睡眠を整えていけるといいのか。特に、休日の睡眠をどう調整すればいいのかというところで、アドバイスをお願いできますか?
規則正しい生活を行う

基本に忠実に、ですね。この動画でも何度かお話ししていますが、結局「規則正しい生活をしましょう」に尽きると思います。
これは睡眠に限らず、健康全般に通じることです。たとえば「食事はバランスよく食べましょう」というのと同じで、すごくシンプルな表現なんですが、「なぜバランスよく食べることが大事なのか」「なぜ規則正しく生活しないといけないのか」という意味を、ちゃんと理解することが大切です。
ただ言葉だけで「規則正しく」「バランスよく」と耳に入れていても、結局行動が変わらなければ、何も変わらないですからね。
意味を理解することが重要

だからこそ、そういう言葉の意味をしっかり理解してもらえたらと思います。ここで全部をお伝えするのは時間がかかってしまいますが、過去の動画を見ていただければ、そのあたりも含めてしっかりお伝えしています。

そういう意味では、連休明けで「自分は全然大丈夫です」という方も、一旦冷静になって、生活リズムを整える機会をつくっていただけたらいいのかなと思います。
たとえば、気をつけるべきポイントをひとつ挙げるとしたら、何から始めるのがいいでしょうか?
起床時間のずれは、普段の起床時間から1時間以内に

起床時間ですね。やっぱり「起きる時間」をベースに考えてほしいです。
普段の起床時間から、ずれても1時間以内に収めるのが理想です。2時間以上ずれてしまうと、体内時計が大きく乱れてしまうので。
たとえば、いつも7時に起きている方なら、休みだからといって昼まで寝るのではなく、少し長く寝たいなら8時までにとどめるなど、一定の範囲に収めていただきたいです。
短時間の仮眠(二度寝・昼寝)で睡眠不足を補う

それでも睡眠時間が足りないと感じるなら、二度寝や昼寝などの短時間の仮眠で補うようにして、一日のリズムや土台を崩さないようにするのが鉄則です。
これも何度かお話ししていますが、ここは絶対に外せないポイントです。

そこは揺るがないわけですね。

はい、それはもう揺るがないです。

わかりました。
連休中に多少リズムが乱れてしまったとしても、まずは「起きる時間を整える」。これを意識することが大切ですね。

そうですね。最短で整えるなら、4日あればリズムは戻ると言われています。ただ、しっかり取り組んでも1週間くらいはかかると見ておいた方がいいかもしれません。
「連休明けだからやる気が出ない」
「休みに慣れすぎて、怠けた気持ちが抜けない」
そういった感覚が出てくるのは、心理的なものもありますし、それを引き起こすホルモンも、リズムや日光の影響を大きく受けます。
だからこそ、生活リズムを整えるだけでも、「よし、明日から頑張ろう」と気持ちを切り替えるスイッチが入りやすくなりますし、それだけでも成果は大きく変わってくると思います。
休みは休み、仕事は仕事。切り分ける気持ちは大事ですが、もし「仕事モードに切り替えたい」と思っているなら、その準備として“生活リズムの土台を崩さない”という意識を持っていただくだけで、きっと大きく変わると思います。
5月のまとめ


特に連休明けという時期でもありますし、4月から環境が変わった方もいらっしゃいますよね。
たとえ自分自身は変わっていなくても、ご家族の環境が変わることで、その影響を受けてしまって疲れが出やすくなるということもあります。
ですので、まさに今このタイミングで、しっかりと生活を整えて、まずは「睡眠から整える」ということを意識していただくといいんじゃないかなと思いました。
今日はお時間をいただき、ありがとうございました。

ありがとうございました。
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