【運動の専門家監修】ケガした瞬間が分かれ道。医療×現場のサポートで最短回復へ

秋の大会シーズンが一段落し、選手たちは冬のトレーニング期へと移行するこの時期。怪我からの復帰を目指す選手にとっては、リハビリと体づくりを両立させる大切なタイミングでもあります。

今回は、運動の専門家・木下幸司さんに、11月以降に気をつけたい体づくりのポイントや、冬場のトレーニングで意識すべき点について詳しくお話を伺いました。冬太りへの注意や、怪我との向き合い方についても深掘りします。

目次

11月に気をつけたいポイント

怪我をしてしまった選手たちですが、ちょうどこの10月ぐらいの秋口には大会も多くて、結構気が張っていたと思います。

その当時に怪我をしてしまったり、あるいはその前に怪我をして奇しくも参加できなかった方も、いち早く復帰したいと思っているはずです。

11月・12月で大会が少し落ち着く時期に、気を付けたいポイントなどをご紹介いただけますか?

そうですね。目標としていた秋の大会が終わる時期なので、次の大会は続いていくとはいえ、少し一段落した感覚があると思います。

その中で、チームによっては練習量が変化するところもあるかなと思います。

次のシーズンに向けてしっかり体作りをしていく鍛錬期・強化期に入るチームもあれば、逆にシーズンをしっかり戦ってきたので、体をケアして取り戻そうという考えで運動量を抑えるチームもあるかなと思います。

チームの状況によって体への負担が変わる

チームの状況によって選手一人ひとりの体にかかる負担が変わってきます。そこを考えた上で、怪我をしている選手は復帰に向けてどうアプローチしていくかをしっかり考えていく時期かなと思います。

競技の種類とか、チーム戦なのかどうかなどによっても、冬の過ごし方って大分違ってくる感じですかね?

そうですね。自分である程度ペースを見ながら取り組む部分もありますが、個人競技かチーム競技かというところで少し変わってくる部分はあるかなと思いますね。

冬のトレーニング

共通して言えることって何かありますか?冬場のトレーニングで重視されるものは?

ランニング

冬場は体づくりを意識して練習内容が変わることが多く、走る量が増えるなどランニングが多くなる傾向があります。

筋力トレーニング

逆に体づくりをしっかりやっていこうとすると、筋力トレーニングで体を酷使するような取り組みが増えてくるかなと思います。

その分、しっかりケアすることが大事になると感じます。

患部と健常部の進め方が重要である

怪我をしている場合、そこに負荷をかけるのかどうかで体の回復が進むかどうかが変わってきます。みんなは体づくりを進めていますが、自分は怪我のせいで同じようにはできません。

ただ、怪我していない部分はある程度そこに合わせて進められると思いますし、怪我している部分については治り具合を見ながら調整していく必要があります。

怪我している部分と怪我していない部分の進め方をしっかり考えていくことは、とても大事だと思います。

概ね冬にかけては体力づくりや基礎体力づくりが多いという感じなんですかね。

そういうところが比較的多いかなと思います。

そういう意味で、ここで参加できないと春先のトレーニングや練習で基礎体力に差が出てきちゃうことがありますね。

ベースが変わってくるので、体格面でも能力面でも影響が出てくると思います。怪我している選手はできるだけ早く元の位置に戻れた方がいいのですが、そこは時間を見ながら、まず自分にできることをしっかり取り組むことが大事です。

指導者の方やサポートを受けられるのであれば、その力を借りながら最善の方法を選んでいくのがいいかなと思います。

怪我の部位や怪我の仕方、手術後の状態などによっても違うと思いますけど、休ませるところは休ませつつ、動かせるところはちゃんと動かした方が復帰しやすいという感じですかね?

冬太りに注意

やはり寒くなると代謝も下がってくるので、いわゆる冬太りというか、体組成的には脂肪が増えやすい時期になるかなと思います。

そうなると、いざ動こうとした時に体重が重すぎてしまうことがあります。

体重が重いのが筋肉によるものであれば問題ないのですが、トレーニングができない環境の選手たちは体重が重くなる=脂肪が増えるというケースが多いと思います。

それは身体の負担になるだけで、決して動けるようになるわけではありません。一般の方と同じように脂肪で太る形、体重が脂肪で増える状態というのはパフォーマンスにも良くないので、そうならないための調整が必要になります。

運動でコントロールするとか、食事面で工夫するとか、そのあたりの調整はすごく大事なのかなと思います。

ありがとうございます。

復帰に向けたトレーニングの重要性

事前の打ち合わせでお話を聞いていて、確かにと思ったのは、怪我や手術が治ってからトレーニングを始めるのではなく、怪我した瞬間から怪我人としてのトレーニングの仕方があるという話でした。そこは大事なんですかね?

怪我した瞬間から復帰に向けてのプロセスが始まっている

そうですね。怪我した瞬間から復帰までの時間はすでにスタートしているので、怪我してから一ヶ月後にようやく始めるとなると、この一ヶ月間は何をしていたのかということになります。

怪我した瞬間からある程度復帰に向けてのプロセスが始まっているので、その時間を無駄にしない過ごし方がすごく大事になります。

怪我した選手はショックで気持ちが追いつかないことも多いとは思うんですけど。

むしろ逆にちょっと休める、みたいな?

そういう雰囲気の子もいますけど、アスリートの場合は練習に参加して試合に出てこそ意味があるという面もあると思うので、いち早く復帰するためには、その瞬間から次のことを考えていく必要があります。

私たちのような立場からすると、そこに向き合えるよう促す声かけや取り組みが大事になるかなと思います。

ありがとうございます。そうすると怪我人としてのトレーニング方法というのも現場に戻るためのトレーニングになると思うんですけど、現場に戻ってからのスケジュール管理も必要になりますよね。

こういった計画って、自分一人で考えるのは結構大変じゃないですか?

そうですね。選手だけで考えるのはすごく難しいかなと思いますね。

回復と練習計画の相談について

そういう時って誰に相談しながら、回復と練習計画のスケジュールを立てていけばいいんでしょうか?

多くのスポーツをしている方は、中高生であれば部活動という形で指導者の先生がいて、自分たちがいて活動しているという状況だと思います。
怪我をした時には、先生や指導者と話しながら「いつぐらいに復帰できるかな?」という形で相談することが多いと思うんですけれども。

学校の先生は指導は出来るが、怪我に詳しいわけではない

ただ、学校の先生は指導はできても、怪我のことを詳しく知っているわけではないんですよね。

部活の先生なんですよね。むしろ授業が大事な。

スポーツのことは知っていても、怪我のことは、自分が怪我した経験がある先生なら何となく分かる部分もあると思うんですけれど、その先生もそんなに多くの怪我を知っているわけではないと思います。そこはやっぱり分からない部分が大きいかなと思います。

そうなると選手としては、まず病院に行って診てもらい、どこが悪くて復帰までどれくらいの全治・時間がかかるのかを聞いた上で、その内容を学校に持って帰って先生に伝えるという流れになると思います。

そこで「じゃあそれならこれくらいかな」という形で進むこともありますし、逆に先生のイメージと違う答えが返ってくることもあります。

「いや、そんなことないだろ」とか「明日からいけるだろ」とか「大げさちゃうか」みたいな話が出てくることもあって、そうなると選手も、病院ではこう言われているけれど先生はこう言うし、でもどっちが怖いかといえば先生の方が怖いから「やります」みたいな雰囲気になることはよくある話です。

監督と医療機関の板挟みになっちゃうみたいな。

選手はそうですね。

そういう相談をできる場所ってあるんですか?木下さんもそういう相談を受けたりするんですか?

現状相談できる場所は少ない

まず、世の中的に現状ではそういう相談ができる場所はあまり多くないですね。やっぱり少ないと思います。

学生がぎゅーっとなって「やれます」って言ってしまうわけですね。

病院では言われたけれど、それでは間に合わないということもあります。本当に急を要するケースで、1週間後に試合があるような状況の選手や、スタメンを張っている子であれば、病院で「2週間安静」と言われても、「2週間後には試合終わってるよ」ということも起こります。

そういうところで苦悩する選手は多いと思いますし、相談できる場はなかなか少ないのかなと思います。

私は現場にも出向くことがありますし、今働いている場所が医療連携しているジムなので、そういう選手はこれまでも多く見てきました。

スポーツチームの事情も知っていますし、医療現場の事情も分かっています。その上で最善のアプローチや声掛けはできるかなと思います。

より競技が高度になればなるほど、責任が大きくなればなるほど、医療機関とスポーツトレーナーと監督、このコミュニケーションがすごく大事なんですね。

アスレチックトレーナーは仲介役として最善を図る

そうですね。僕のようにチームスポーツに関わるアスレチックトレーナーは、仲介役としての存在になります。

医療機関があって、選手がいて、チームに指導者がいて、指導者も怪我のことを細かく管理するのは難しいので、病院で言われたことを選手から僕に伝えてもらう形になります。

それを踏まえた上で最善を考えます。チームとしての目標もあるのでそこは考慮しつつ、安全面を第一に、例えば「本当は3ヶ月必要」と言われていても、いち早くリハビリして2ヶ月半で戻れる状態になったとしたら、それを病院に持ち帰って確認してもらいます。「ここまでできるなら復帰してもいいか」と確認し、病院がOKなら、今度はそれを指導者の先生に伝えます。

その上で練習参加や試合復帰のゴーサインを僕から出してあげるという形でアプローチしています。

確かにメディカルの方は身体の専門で、どう早く現場復帰するかとは少し観点が違いますよね。その子のパフォーマンスを落とさない、もしくは上げた状態に戻すというのもまた別の側面があると思うので、そういったところは気軽に相談していただけるといいかもしれませんね。

そうですね。

11月のまとめ

医療側と現場の間に立って分かる人が調整に入れると、よりスムーズに進むこともあるかなと思いますね。身近にそういった存在がいなければ、お問い合わせいただければ、怪我したご本人が見ている場合にはうまく活用していただけるといいかなと思いましたし、そういった連携がとれると理想かなと思います。

これはスポーツに限らず、ジムの先生だったり整体の先生たちにも同じことが言えるかなと思います。患者さんの立場に寄り添って、できることを提案してもらえるのではないかと思いますので、参考にしていただける部分があるのではないかなと思いました。はい、今回もありがとうございました。

ありがとうございました。

冬の足元ケアが、パフォーマンスを左右する

冬場のトレーニング期は、基礎体力を高める一方で、怪我の予防や疲労の蓄積を避けるためのケアが欠かせません。とくに足首はスポーツ動作の中でも負担がかかりやすく、日々のケアが回復とパフォーマンス維持に直結します。

そこで注目したいのが、かかとを下から支え、足首の外側を引き上げる構造で歪みを整えるサポートアイテムです。一般的な固定ではなく、「整える」ことを目的としたケア用品は、運動後のリカバリーはもちろん、運動前のコンディショニングにも活用可能。疲労を溜めにくくし、自然治癒を促すことで、日々のトレーニング効果も変わってきます。

寒さで体がこわばりやすいこの時期こそ、足元から整えるケアを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修した人

木下 幸司 木下 幸司 株式会社オルソエクスパンド
フィットネス事業部
マネージャー

<資格>日本スポーツ協会 公認アスレティックトレーナー、NSCA-CPT
<現在のトレーナーサポート>大阪産業大学附属高校 アメリカンフットボール部
<過去のトレーナー歴>近畿大学 アメリカンフットボール部、甲南大学 アメリカンフットボール部。近畿大学附属高校 男子バスケットボール部、パナソニック 硬式野球部、ハンドボール 女子U18日本代表、バレーボール JOC女子大阪南選抜 など

⚪︎⚪︎のアバター 塚本 幸規 株式会社キュアレ
取締役/整体師

美しく健やかに体を整えるためのアイテムを取り揃えたCURE:REのマーケティング、PRを担当。20年以上にわたる整体師としての経験から様々な不調を抱えるクライアントをサポート。リピート率90%の店舗作りを手掛け、そのノウハウを治療院、エステサロンへ伝授。医療グループ商品開発部門の取締役として、地域医療と個人サロンが連携して顧客をサポートできる仕組み作りをしている。

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