本記事は、睡眠の専門家・アスリートスリープコーチ矢野達人さんの監修を受けています。


矢野達人
アスリートスリープコーチとして、トップアスリートやビジネスパーソンの睡眠改善をサポート。生活リズム調整、睡眠負債の解消、集中力・判断力の最適化など、科学的根拠に基づく実践的アプローチに定評がある。講演・企業研修・メディア出演など幅広く活動中。
12月は会食、移動、締切が重なる忙しい時期。夜の予定が続くことで生活リズムが乱れ、「眠れていないのに、とりあえず動けてしまう日」が増えることがあります。その状態を放置すると、翌朝の判断ミスや集中力低下につながり、仕事や安全面にも影響が出る可能性があります。
睡眠の専門家・矢野達人さんは、
矢野達人禁止するよりも、生活に合わせて“整え方を設計する”ほうが長く続き、結果的に安全性もパフォーマンスも上がる
と話します。
キーワードは、
朝の軸を守ること
どうしても難しい日は睡眠時間を優先すること。
この現実的なスタンスで、年末の睡眠トラブルを無理なく予防していきましょう。
1|睡眠不足のサインを“日常の場面”で捉える


睡眠不足には明確な体感サインがあります。チェック表を用意しなくても、日常の小さな変化から読み取ることができます。
休日の寝だめが120分以上
休日に2時間以上寝だめしてしまうのは、平日に「睡眠負債(短時間睡眠の蓄積)」が溜まっているサイン。
土曜の二度寝が長引く → 日曜の夜に寝つけない → 月曜のだるさ
というリズムの乱れにつながります。
平日と休日の起床差が120分以上
金曜に夜更かしをして、日曜にだるさが残る…。これは社会的時差ボケと言われ、体内時計のズレが原因です。
※社会的時差ボケ=生活リズムのズレにより時差のような不調が出る状態。
入眠1分以内の“即寝”が続く
「すぐ眠れる=快眠」とは限りません。入眠潜時(横になってから眠るまでの時間)が1分以内になるのは、脳が疲れ切って“余力が残っていない”状態を示すことがあります。
※入眠潜時の理想は10〜20分程度。
起床後4時間以内に強い眠気が来る
朝の気合いで動き出せても、午前中に大きな眠気の波が来る人は、深い睡眠が足りていない可能性があります。
【豆知識】
週末で帳尻を合わせるより、平日の起床時刻を安定させて、就寝時間を微調整するほうが翌週の立ち上がりがスムーズになります。
2|忘年会と睡眠:アルコール・光・時刻の“三つの整え方”


2-1|アルコール:打ち止めの目安をあらかじめ決める
矢野さんは、生活に合わせて「現実的なライン」を事前に共有することを推奨します。
- 理想:就寝4時間前には飲み終える
- できれば:3時間前
- 難しい日は:2時間前を目安に
二次会に行く場合は、度数を下げる・シャンディガフなどで薄めるなど、無理のない選択を。
「絶対禁止」よりも“選び方を変える”ほうが継続しやすいとのこと。
解説
アルコールは寝つきを早める一方、睡眠の後半を浅くし、中途覚醒が増える性質があります。そのため翌朝の回復に影響しやすく、終了時刻を決めることが有効です。
2-2|光:就寝前は“視線の角度”を変えるだけで効果が出る
帰宅後は以下の3つを意識するだけで睡眠の質が大きく変わります。
- 天井照明を直視しない
- ソファで仰向けになってスマホを見ない
- できる範囲で暖色の間接照明に切り替える
光は明るさだけでなく「どこから入るか」が睡眠ホルモン(メラトニン)に影響します。目線を落として過ごすことで、簡単に睡眠環境が整います。
2-3|時刻:翌朝のコンディションを守る仕組み
重要な発表や試合がある前日は、会合を23時前に終了するのがおすすめ。
難しい場合は、翌朝の集合を15分だけ遅らせるなど、小さな調整で大きな乱れを防げます。
3|原則と例外:起床時間の扱いが睡眠の安定を決める


原則:毎日同じ時刻に起床
体内時計(サーカディアンリズム)の“軸”となるもっとも重要な行動です。
例外:極端に睡眠が短くなる日は、睡眠時間を優先
「原則だけ」でも「例外だけ」でもバランスを崩します。
年末は特に予定が読みづらいため、軸を守る日を増やしつつ“必要な時だけ例外を使う”のが賢い続け方です。
4|現場・チームでできる“眠りのセーフティ”
忘年会翌朝に高リスク業務を置かない
運転・重要会議などはできる限り避ける。
「眠気の申告」を歓迎する
叱られると申告しづらくなり、結果的に隠してしまう危険があります。
計画的パワーナップ


- 10〜20分
- 14時前
- 横になれなくても目を閉じて静かに休むだけで効果あり
※パワーナップ=短時間の仮眠で脳をリフレッシュする方法。深い睡眠に入る前に起きるのがコツ。
朝は明るく・夜は落とす
照明の明暗をタイマーで段階的に調整すると、職場でも実践しやすくなります。
5|今夜から無理なく始められる3つの工夫
- 10〜20分
- 14時前
- 横になれなくても目を閉じて静かに休むだけで効果あり
小さな積み重ねが、翌日の集中力と判断力を大きく底上げします。
クイック・セルフチェック(各「はい」=1点)
- 休日の起床が平日より90分以上遅い
- 休日に120分以上の寝だめが必要
- 就寝3時間以内の飲酒が週2回以上
- 就寝90分前も強い光(スマホ/PC/白色照明)を浴びている
- 入眠1分以内に眠りに落ちることが多い
合計3点以上の方は、今週は無理のない範囲で上記の3つの工夫を試してみましょう。
周囲の方とも共有すると、チーム全体の安全とパフォーマンス向上にもつながります。
寝姿勢のくずれも“睡眠不足サイン”に影響する
睡眠不足のサインに気づきにくい冬は、どうしても睡眠負債がたまりやすい季節です。実は、寝不足の大きな原因のひとつが「寝姿勢のくずれ」。首や肩まわりが十分に休めていないまま眠ると、深い睡眠に入りづらく、翌朝の強い眠気サインへつながってしまいます。
そこで役立つのが、首をやさしく支える“特許取得の三段構造の枕”です。頭・首・肩をバランスよく受け止めるタイプを選ぶことで、横になるだけで姿勢が整いやすくなり、睡眠の深さの土台が安定します。予定が重なりやすい年末こそ、寝具を少し見直すだけで翌朝の集中力が大きく変わります。
まとめ
年末は、“禁止”より“設計” が力を発揮します。


- 今夜:照明を一段落とし、仰向けスマホをやめる
- 明日:パワーナップ10〜20分を14時前に
- 会合日:打ち止めの目安をあらかじめ決める、翌朝の集合を15分調整
これらの小さな整え方が、1〜2月の本番に確かな余力を残します。
矢野さんの“できる範囲から整える”という姿勢で、心身の安全と成果を両立していきましょう。
【FAQ】
- 睡眠不足のサインにはどんなものがありますか?
-
日中の強い眠気、休日の寝だめ、即寝、午前中のだるさなどがあります。
- 飲み会のアルコールは睡眠にどんな影響がありますか?
-
寝つきは良くなりますが、睡眠の後半が浅くなり途中覚醒が増えます。就寝3〜4時間前までに飲むのが理想です。
- 生活リズムが崩れた時の立て直し方は?
-
起床時刻を固定し、就寝時刻を15〜30分前倒しするのが最も効果的です。
- パワーナップはなぜ有効なの?
-
深い睡眠に入る前に起きることで脳疲労が効率よく回復し、午後の集中力が安定するためです。
【監修者コメント】



年末は生活リズムが崩れやすく、睡眠不足のサインを見逃しがちです。大切なのは、完璧を目指さず“整えられる範囲を整える”こと。小さな調整が翌朝の安全と成果を守ります。
アスリートスリープコーチ 矢野 達人















































































































































