対談にご協力いただいたのは睡眠の専門家である「矢野達人」さん。 睡眠コーチとして個人の睡眠指導から法人にて事故防止のための睡眠講習やパフォーマンス向上のための睡眠の指導をされています。
サッカーチームメンバーの睡眠マネジメントを行うプログラムを行い、チームのパフォーマンスアップにも貢献されている先生です。
この対談動画では、そんな睡眠の専門家の知識と経験をもとに冬季うつのリスクについてご紹介しております。
年末年始の睡眠
矢野さん、今日もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
改めて、明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
年末年始の山をどう超えるかが重要
お正月もしっかりと睡眠をコントロールされていらっしゃいましたか?
もちろんですね。睡眠といえば、この年末年始の山をどう超えるかが、私たち睡眠を勉強している者や、それを伝える側にとっては1年の中でもかなり重要視しているところなんです。
けっこう山場なんですね。
そうですね。
どんなことをされますか?
やはり、仕事がない連休、つまり普段のリズムと大きく変わる期間なので、大半の方が昼まで寝たりしてしまいますよね。元旦って、意外とやることがないという方も多いんじゃないでしょうか。
確かに、だいたい移動しているくらいですもんね。
「みんなでイオン行こうか?」とか、「マッサージでも行く?」みたいな話になりますよね。年間行事がしっかり決まっている方もいらっしゃいますが、そうでない方は本当にやることがなくなりがちです。
普段と同じリズムを崩さないことを意識する
そうなると、夜に親戚が集まるからそれまで寝ておこう、といった感じで、リズムが崩れる方が出てきます。
だからこそ、年末年始でも普段と同じ決まった時間に起きて、リズムを崩さないことを意識した方がいいですね。もちろん私自身もそうしています。
一番気をつけたいのはやはり年末年始ですか?
そうですね。ただ、人それぞれ環境が違いますので、連休になりやすい時期があれば、同じように注意が必要です。
ただ、大半の方にとって年末年始は特にリズムが崩れやすい時期だと思います。
年始も終わっていますので。
そうですね。
リズムが崩れてしまった方も、早めにリカバリーできるようにしていただきたいですね。今日はその辺りをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
冬に体内リズムが乱れる原因
この1月、先ほどもスタートの時期が大事だとお話されていましたが、どんな点に気をつけると良いでしょうか?
そうですね。先ほどもお話ししたように、リズムが体の土台になるので、とても大事です。ただ、この季節はそもそも日照時間が短いですよね。夏場なら明るい時間帯でも、今の時期はまだ暗いことが多いです。
体内リズムを整える光の摂取量が減る
このリズムを整えるカギとなるのが「光」です。ですが、冬場は摂取できる光の量が少ないため、リズムが整いにくくなります。これが一つ目の原因です。
光はホルモン分泌と関係がある
もう一つ大事なのが、光の強い働きにはリズムを整えるだけでなく、体を元気に動かすためのホルモンを分泌させる役割もあるということです。
このホルモンが不足すると、体がだるく感じたり、活力が落ちる原因にもなりますね。
幸せホルモン「セロトニン」とは?
強い光には、体を元気にして活動的にしてくれるホルモン、セロトニンがあります。聞いたことがある方も多いと思います。
心は落ちついて前向きな気分になる
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれています。このホルモンの分泌量が多いほど、心が落ち着いて前向きな気分になり、「頑張ろう」と思えるようになります。そのため、その日1日のパフォーマンスに大きな影響を与えると言われています。
セロトニンの分泌は、目の奥にある視交叉上核(しこうさじょうかく)を強い光で刺激することで活性化します。この刺激がセロトニン神経に伝わり、ホルモンの分泌を促す仕組みになっています。
夏場は光を容易に摂取できますが、冬場は光の摂取が難しく、分泌が減少しがちです。その結果、やる気が出ない、しんどい、辛いといった状態に陥りやすいのが冬場の特徴です。
症状が酷いと「冬季うつ」に繋がる
この状態が酷くなると、「冬季うつ」と呼ばれる症状に繋がることもあります。この症状に気付かず、毎年冬場に苦しむ方も少なくありません。こうした問題を防ぐためにも、強い光を意識的に浴びることが大切です。
特に冬場は光の摂取量が少なくなるので、意識して行う必要があります。これが、年間を通して私たちが大事だと伝え続けているポイントでもあります。
「冬季うつ」とは?
先ほど「冬季うつ」というお話がありましたが、具体的にはどのような症状なのでしょうか?もちろん診断は難しいと思いますが、教えていただけますか?
実は、「これが冬季うつだ」と自覚している人は、正直少ないと思います。
確かに少ないかもしれませんね。
やる気が出ない、しんどい、気だるい、倦怠感などの症状
簡単に言うと、朝なかなか布団から出られない、起きられない、なんとなくやる気が出ない、日中もずっと眠たい、倦怠感が続くといった症状が挙げられます。
「なんだかしんどい」「気だるい」という状態ですね。これらの原因が寒さではなく、光の摂取量が不足していることからきている場合があります。
セロトニンというホルモンの分泌量が足りないと、これらの症状が出やすくなります。冬季うつのメカニズムはそこにあり、多くの方が軽い形で一度は経験していると思います。
光の摂取量が足りていないことを自覚する
ですので、冬場に「なんとなくやる気が出ない」「けだるい」と感じる場合、それが寒さのせいではなく、光の摂取不足が原因だと自覚することが大切です。
「そういうことだったのか」と分かるだけで、日本における冬季うつはかなり減らせるのではないかと思っています。
時間はたっぷり寝ているのに気分が上がらなかったり、ぼーっとしてしまうこともある、ということですよね?
そうですね。時間ではなく、結局はリズムがきちんと取れていないと、あまり意味がないということです。
お客様の実例
矢野さんのクライアントや相談者の中で、サイクルが崩れた結果、問題を抱えていた方の代表的な例はありますか?
「不眠症です」とご自身でおっしゃる方がいらっしゃいます。詳しく紐解いてみると、冬場に適切な対策を取らず、リズムが崩れてしまったことが原因で、年間を通じてどの季節にも適応できなくなり、ずっと苦しんでいるというケースがありました。
例えば、冬の過ごし方が原因でリズムが崩れている場合、その方には冬の適切な過ごし方を指導します。もちろん、夏に相談を受けたなら、夏の過ごし方についてアドバイスをする必要があります。
そうやって一つ一つ季節ごとに適切なリズムを整えていくことで、最低限の安定が得られます。
年間通したサポートをすることが必要
そして、春になったら「春にはこういった問題が起きやすいのでこうしましょう」、夏には「夏はこうしてください」と、1年を通じたサポートを行います。
これを1年間続けることで、自分の生活リズムの「勝ちパターン」を体感できるようになるので、あとはご自身でセルフコンディショニングを続ければ良いだけになります。
クライアントの方で、そういった相談は結構多いですか?
そうですね、かなり多いと思います。特に夏場の不調は「熱帯夜」のイメージが強いですが、実は光の問題でリズムが崩れていることも多いです。
冬の場合は特に、朝起きづらいなどの悩みが自覚しやすいので、ヒアリングをしていると冬の問題が浮き彫りになりやすい印象です。
問題が浮き彫りになりやすいのが冬である
冬は特にリズムの問題が明確に現れる季節だと思います。
なるほど。もしその問題を放置したり、サイクルを直さずにいると、夏や秋も含めて、年間を通じて調子が悪くなるということでしょうか?
そうですね。冬だけではなく、他の季節にも対応できず、安定した睡眠が取れなくなります。「冬は寝られないけど、他の季節は問題ない」という悩みはあまり聞きません。
むしろ、不眠で悩んでいる方と話すと、「毎晩寝付けない」「夜中に必ず目が覚める」とおっしゃる方が多いです。ただ、詳しくヒアリングすると、実際には週の2~3日の話だったりすることもあります。
我々の立場からすると、どこまで自覚されているかや、ヒアリングで得た情報が正確かどうかを見極め、正確な対応を取ることがとても大切です。
機能アイテムの紹介
ルーチェグラスという模擬太陽光を浴びるサングラスの利用
悩んでいる方には、例えば「朝起きる時間が早くて、全然日が出ていない」というような方におすすめのアイテムがあります。
それが、ルーチェグラスというサングラスタイプの光を浴びるアイテムです。このグラスは、体内時計を整えるのに必要な1万ルクスの光を出してくれるもので、今では市販されています。
へぇーーーーーー。
例えば、朝に30分間つけてみたり、これを装着しながら出発の準備をするだけで、体内時計を整えることができます。
このルーチェグラスは、日本代表レベルのトップアスリートが海外遠征時の時差調整に使うほどのものですが、今では一般の方でも手に入れることができるようになっています。
悩んでいる方は、ぜひこういったアイテムを活用してみてください。また、自分で意識的に外に出て自然光を浴びることも重要です。お金がかからない方法もありますので、ぜひ試してもらえたらと思います。
無料ですもんね。
そうです、無料です。こんな良い方法をわざわざカーテンで遮ってしまうのはもったいないですよね。
はい、ありがとうございます。
というところですね。
光の摂取量がポイント
光の強さって、とても大事ですね。
はい、光の強さは世界的にも重要視されています。光の摂取量が人生を変える、と言われるほどです。
以前も光のテーマでお話しいただきましたが、室内の明かりでは不十分なんですよね?
全然足りませんね。
照度計のアプリで調べるとわかりますが、日当たりの良い場所と蛍光灯の下では、数値が全く違いますよね?
蛍光灯を極端に近づければ数値的には上がるかもしれませんが、そんな環境で光を浴び続けるのはストレスが溜まります。気持ち良いと感じられる自然な光を浴びることが大切です。
むしろ怖い。
取り調べを受けているみたいなそういうのじゃなく、気持ちいいなと感じる光がいいとされてます。
そうですよね。アプリを使って日中の空間の明るさを測るだけでも、自分の環境を客観的に見ることができます。気分が上がらない時には、光の量を確認してみると、自分の今の状況が見えてくるかもしれませんね。
そうですね。まずは、そこから始めるのが良いと思います。
体内リズムを整える方法
この光を浴びるという行為について、どれくらいの時間浴びるといいとか、時間的な目安はありますか?
最低30分は光を浴びる目標とする
そうですね。午前中というくくりで、最低30分は光を浴びることを目標にしていただきたいです。
家を出るまでの5分間は陽のあたる場所にいる
ただ、30分が難しいという方は、家を出るまでの間に最低5分、陽の当たる場所にいることを意識してみてください。
例えば、朝起きてカーテンを開け、外を眺めながら目を覚ます。準備をしながら窓の外を見る時間を作ったり、いつも部屋の中で食べている朝ご飯を窓際で食べたりすることで、その5分を確保できます。
なるほど。
例えば、朝起きたらカーテンを開けて、しばらく外を眺めることで目を覚ますのも良いです。その後、準備をする際に、歯を磨く時などにも窓の外を眺めるようにして時間を稼ぐことができます。
また、普段部屋の中で朝ご飯を食べている方は、窓際で食べるようにするだけでも、自然光を浴びる時間を増やすことができます。このようにして、まずは朝の5分間を確保することを目標にしてみてください。
起床時カーテンを開けて15秒外を眺める
それでも難しいという方は、最低限、朝起きたらカーテンを開けて15秒外を眺めることから始めてください。これが最低ラインです。その次に、家を出るまでの5分を確保し、さらに午前中には30分以上を目標にしていただければと思います。
確かに、30分となると忙しい方には少し難しそうですね。
そうですね。わざわざ時間を作るのが難しい場合は、日常の中で工夫して時間を稼ぐことが必要です。例えば、「ここからここまでは歩こう」といった形で光を浴びる時間を作るといいですね。
起きた直後が一番効果的ですか?
早い方がいいです。朝起きて3時間後に光を浴びるのでは効果が薄いので、できるだけ早めが理想です。
ただ、「光を浴びるために30分早く起きる」というのは、忙しい方には難しいかもしれません。せめて5分早く起きて、ストレッチをしながら外を眺める習慣をつけるのが理想ですね。
なるほど。
でも朝の5分は貴重ですからね。
そうですよね。歯を磨く時間や、意外とぼーっとしている時間を見つけて、その時間を活用すればいいわけですね。
そうです。その5分を少しずつ積み重ねることが大切です。
冬は寒いので、防寒対策をしながらですね。
窓を閉めたままでもいいので、カーテンを開けて光を取り入れるだけで十分効果があります。
わかりました。光が浴びにくくなる要因として、日照時間の短さや寒さが影響していそうですね。
そうですね。ただ、1週間のうち4日以上、決まったリズムを守ることを目標にしてください。週4回以上できれば、体の軸としてリズムが整います。
逆に週に1回や2回しか守れないと、軸とは言えません。週4日を最低目標にしつつ、5~6日続けられるように、決まった時間に起きて光を浴びる習慣を取り入れていただければと思います。
まとめ
手軽にできそうなので、まずはこの1月、「これから心機一転頑張るぞ」というタイミングで光を浴びることから始めるといいかもしれませんね。
そうですね。
ぜひ取り入れていただきたいですね。
めちゃくちゃいいと思います。
わかりました。今回もありがとうございました。
ありがとうございました。
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